なぜDVは起きるの?

1.男女の力の差
内閣府の平成26年度の調査によると、夫婦の間で身体的な暴力を受けたことがある女性は15.4%で、7人に1人です。

また交際相手から暴力を受けたことがある女性は4人に1人という割合です。
なぜ、これほど多くの女性の身に暴力が振りかかるのでしょうか。
それは、DVが力の差のあるところに起こるからです。
その力の差がどこから来るのか、そこには複雑な要因がたくさんからまっています。
歴史的な背景、文化的な背景は無視できませんし、 また、その個人が育った家庭環境や周囲の環境も大きく影響します。
DVは、力を持つものが、弱いものを自分の思い通りにしようとあらゆる力を用いて、 執拗に支配しようという行為です。
ほとんどのDVが、男性から女性に向けておきています。
これは、男性が一般的に、肉体的な「力」が女性よりも強く、 体重も重いという要素を無視できません。
また、経済的な「力」、社会的な「力」(地位、信用)といった面でも、 一般的に、男性の方が女性よりも

大きな力を持っているのが私たちの社会の現状です。
こういう力の差を利用して、弱い方を支配することがDVの本質です。
そして、これを後押ししているのが、 男女の不平等な社会を放置し、「女性は男性の言うことをきくべきだ。

だから言うことをきかないような女性は叩かれてもしょうがない」 「男性は本来、暴力的な側面を持っており、

ある程度は仕方がない」 といった男性の暴力を容認する社会の価値観です。

 

2.暴力を容認する社会
ところで、「暴力をどう思いますか?」と聞かれたら、誰でも「暴力は良くない」と答えるでしょう。
しかし私たちは、「場合によっては暴力をがあってもしかたない」と思っていることがたくさんあります。
たとえば、「相手が悪いところがあれば、多少の暴力はしょうがない」と、思うことはないでしょうか。
学校での体罰は、法律で禁止されていますが、「殴ってくれるのは熱心な先生」などと言う人もいます。
また、子どもは叩かないとわからないからと、叩くことを「しつけ」と思っている親もいます。
「殴られたから殴り返さないとナメられる」と考える人も多いでしょう。
このように、私たちは暴力はよくないと思っていても、「条件付き」で暴力を認めてしまうことが多いのです。
そして、「男の子は多少、乱暴なくらいが頼もしい」とか、「喧嘩に負けて帰ってくるのはだらしない」とか、

男の子の暴力に対して、寛容な見方をしがちです。


一方で、「女性は男性のいうことを聞くべきだ。だから言うことをきかないような女性は叩かれてもしょうがない」

と思っている人もいます。
これは、女性そのものを低く見る歴史や文化(ジェンダー)に影響を受けた考えですが、 こういう考えを無意識に

持っている人は、 女性が自分の意見にさからったりすると、馬鹿にされたように感じて、かっとなりやすいようです。
そして、条件付きの暴力、すなわち、 「女性は男性のいうことを聞くべきだ(ジェンダー)。だから、言うことをきかないような

女性は叩かれてもしょうがない(条件)」 という考で、暴力を容認してしまいます。
暴力に理由をつけて許してしまう考え方は、 私たちの無意識の中にしっかり染みついており、 それから抜け出すことは、

なかなか簡単ではありません。
「暴力はどんな理由があってもいけない、許されない」と、一人一人がしっかり思うことが、 唯一、暴力をなくしていく方法です。


また、人は誰でもいろいろなことで怒ったり、 腹を立てたりしますが、そのときには、心がひどく傷ついた状態になっています。
その傷ついた感情を上手に言葉で表せないときに、暴力に訴えがちです。
つまり、「自分はこんなに怒って、傷ついているんだ、気づいてくれよ」というのを、 言葉でなく拳骨で表現しているのです。
特に男性は女性に比べて、子どもの時から、自分の気持ちや感情を言葉でうまく伝えるのが苦手な人が多いようです。
それが男の子らしいのだという文化が私たちの社会にあるからです。
男の子が「悲しい」とか「苦しい」といった気持ちを述べると、「女々しい」「男のくせにみっともない」などと

非難されることがありますね。 けれども、そんなことはありません。


悲しい、悔しい、つらいなどの感情を言葉で表現できるようになることは、社会生活や人間関係においても重要なことです。

そして、暴力ではなく、言葉で伝えることが、相手に理解してもらうためにとても大切です。