高校生にも起きるの?

1.デートDV
今までは、こういうDVは夫婦や大人の恋人間で起こるものだと思われていました。 しかし、実は中学生や高校生くらいから、

大人と同じような暴力がカップルの間に起きていることがわかってきました。
DV防止ながさきが実施したアンケート調査では、 高校生の女子の10%、大学生の女性の14%が、何らかのDV被害経験があると

回答しています。 また友人の被害経験を見聞きした経験も、女子の20%にのぼります。
回答したすべての高校生、大学生が特定の相手と交際しているわけではないので、 実際にカップルとして交際している男女の中

のDV被害は、 もっと高い率で起こっているということが予想されます。
アンケートから見えてくるデートDVの内容は次のようなものです。

 

■精神的暴力
*ケイタイ電話にからむ束縛
メールや電話をしょっちゅう掛けてきて、 どこにいるかとか、誰と会っているかとか聞きたがる。

すぐに返事しないと、次に会った時にすごく怒る (これは男女ともに、軽い気持ちでやっている人もかなりいるようで、

罪悪感がない場合があります。 こういうふうに相手を束縛することが恋愛だと思っているようです。 しかしエスカレートすると、

たいへんきつい束縛になります)。
*交友関係の制限
他の男友達のメールアドレスを勝手に消す、友人との付き合いに干渉する、 異性はもちろん、同性との友達付き合いもさせない。
*別れようとした時
別れるというと自殺するなどと脅す、 別れ話をしたら部屋から出してもらえなかった、 ストーキングされた、リストカットのフリを

写メールで送りつける、親密な時に撮った写真をネットにばらまくと脅されるなど、 別れようとした時に、いろいろな脅しにあっています。

 

■経済的暴力
学生のカップルでは、お金にからんだ暴力はそれほどアンケートには出てきませんが、 一緒に暮らしていも生活費を負担しない、

交際相手に頼まれて消費者金融から自分の名義でお金を借りてしまい、別れた後も借金が残るというケースがよくあります。


 

■性的暴力
キスやセックスを強要したり、避妊の責任をとらない、 性感染症をうつす、中絶させるなどが性的暴力です。

同意のない性関係はデートレイプ=暴力です。 同意しないと怖いとか、断ると嫌われるんじゃないかと、

内心嫌でも同意するケースもあります。 セックス自体は同意であっても、避妊してくれないので妊娠が心配、

また、妊娠したんじゃないかと言ったら腹をひどく殴られたり、 性だけが目的のような付き合い方をするように感じる、

というケースもあります。性は人権そのものです。合意のない性関係は暴力だと、認識することが大切ですし、

相手の心と体、未来をも大事にして、しっかり性について話し合うことは恋人同士に必要なマナーです。

 

■身体暴力
殴られた、蹴られた、歯を折られたとか、 髪をつかんで引きずりまわされた、などひどい暴力を受けているケースがあります。

特にひどい暴力は、別れ話の時に起こることがあり、 怖くて別れるのをあきらめたという記入もありました。

このようにみると、 大人のDVと内容がほとんど変わらないのに驚きます。 まだ人生のスタートの10代で、すでにこのような

男女の力関係が起きていて、 それから逃げられないというのは、とても深刻なことです。

 

2.相談相手は誰?
女子の場合は、被害を受けた場合のほとんどが友達に相談しています。 けれども、親や教師に相談したケースはとても少ないです。
ひどいストーカー経験がある生徒で、 親や教師に相談して解決した場合がわずかありますが、 たいていは、友人に相談しても、

「愛されとる証拠やねー」「ひどかねーと言われただけ」「別れんねと言われた」など、 あまり真剣に相談に乗ってもらったとは

言えない状況です。 相談窓口の存在ももちろん知りません。

 

3.なぜ、DVがあっても別れられないの?
夫婦とは違って、子どもや経済的問題などを抱えておらず、 なんの制約もなさそうな高校生や大学生が、DV関係から抜け出せない

というのはなぜでしょうか。
そばから見れば、なんであんな目に合っているのに別れないんだろう、 結局好きだからかな、意志が弱いのだろう、

などと思ってしまいます。
結婚もしてないし、子どもがいるわけでもないし、なんで別れないんだろう、 あれだけ別れるように忠告してあげたのに、

と心配すればするほど、 腹を立てて、縁を切る友人も出てきます。
別れられない理由はたくさんあります。その気持ちを知っておくことも大事なことです。
いくつか、あげてみましょう。

「好きだから。恋人を失うと淋しい。一人になるのはいやだ」。
「女性は男性の言うことを聞くほうがかわいいから、男性にはさからわない方がいい。」
「いつも暴力をふるうのではなく、普段はとてもやさしいから、もうしないと信じたい。」
「別れ話をすると怒るので、しかたなく一緒にいる。」
「恋人同士だからいやなことも仕方がない。」
「私にも悪いところがあるから。彼を怒らせているのは私だから。」
「暴力の後、そのたびにあやまるので、許さなくてはと思う。」
「彼には生い立ちなどでかわいそうなところがある、そんな彼を支えてあげられるのは私だけ、と思う。」
「いつも暴力を振るわれているので、こわくて逃げ出す気持ちもなくなってしまった。」

どの気持ちも、ある程度理解できますね。
でも、このように、本当は別れたいのに、いろいろな理由でいつのまにか相手のペースにはまってしまい、

嫌なことも嫌といえない、別れられないような気持ちになってしまうのが、DVの特徴です。
別れられないのは、その人のせいでもないし、その人の意志が弱いからでもありません。
そして、デートDVも夫婦のDVも、 恐怖でマインドコントロールされている状態はまったく同じです。
「別れるというと脅かされたり暴力をふるったりするので怖くて別れられなかった」。
また、恋愛自体を、つらいもの、ある程度我慢をするものと思っているふしがあります。
「つらくても恋愛とはそういうものだと思っていた」 「好きだから我慢していた」などと考えているようです。
私たちは、デートDV防止授業の中で、「対等な人間関係とは、NOが言える間柄です」と話します。
そうすると、アンケートに「嫌なことは嫌と言ってもいいんだと初めてわかりました」 「好きだから何をしてもよいという

わけではないということがわかりました」という感想がたくさん書かれていました。
こういう記入が多かったということは、 逆にいうと、今回の授業を受けるまで、 嫌なことに対して「NO」といってよいのだ

という意識をもっていなかったことを示しています。
「NOといえるようになりたいです。でも、実際にそういう場面になったら、はっきりNOと言えるかどうか自信がないけど」

という記入もありました。
セックスを強要されたり、携帯電話やメールで行動を束縛されたり、 友達関係を干渉されたり、強迫されたり、いろいろな嫌なことを

経験していても、 我慢をしていて嫌と言えない若者達の実情がアンケートからうかがえます。